2011年度原子核三者若手夏の学校

- 素粒子論パート -



研究会アブスト集 (18日前半)

研究会日程 17日前半 17日後半 18日前半 18日後半(ポスター) 20日前半 20日後半

08:45

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08:58
格子上の厳密なカイラル対称性とGinsparg-Wilson Fermion(レビュー)
氏名趙 栄貴(ちょう よんぎ) 学年M2
所属筑波大学 数理物質科学研究科 物理学専攻 素粒子理論研究室
概要
格子上の場の理論は空間を格子状に区切り、経路積分の計算を数値的に実行可能にした理論である。
 この方法はまた、運動量の積分に現れる紫外発散を繰りこむような正則化にもなっており、大変有効な理論であるが、理論的に良くない事も起こってしまう。 格子上での理論はあくまで手段なので、常に連続な時空の理論に持っていく事を意識しなければならないのだが、格子上でフェルミオンを構成すると連続極限にもっていったときに、余分な粒子が現れてしまう。 この問題をダブリング問題というのだが、これは量子色力学の漸近的自由性などの点から好ましくない。 これを解決するための方法として色々な方法が考案されている。 例えば、ウィルソン・フェルミオンやスタッガード・フェルミオンである。
 しかし、ニールセン・二宮の定理から本来、フェルミオンが持っていると、予想される性質を要求してしまうと、ダブリング問題は避けらないという非常に強力な制約を受けてしまう。
これをうまく回避するための考えれたが、ギンズパーグ・ウィルソンフェルミオンである。 このモデルは、ギンズパーグ・ウィルソン関係式という格子上での厳密なカイラル対称性を満たしている。 この関係式を求めた論文が出た当時は注目されていなかったのだが、ドメインウォール・フェルミオンのある極限を考える事により、それを構成できる事がわかってから注目されるようになった。
しかしこのモデルは計算コストがウィルソン・フェルミオンなどに比べ100倍ほどかかるわりに、ゲージ場が滑らかなでなければ局所性に問題が起こる。 よって現在はカイラル対称性という性質に関係のある現象や物理量に対してだけ、このモデルが使われている。
08:59

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09:12
Recent status of Walking technicolor (レビュー)
氏名富谷 昭夫(とみや あきお) 学年M2
所属大阪大学 理学研究科
概要
テクニカラーモデルの現状について議論する予定である。
09:13

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09:26
磁場を持つ高次元超対称模型の4次元有効理論について
氏名角田 慶吾 学年M2
所属早稲田大学先進理工学研究科
概要
superfieldで書かれた高次元超対称ヤン・ミルズ(SYM)理論において、超対称性を保ちつつ余剰次元空間に磁場を与えた時、高次元時空の波動関数はsuperfieldごと4次元部分と余剰次元部分を分離することができる。磁場によって分離した波動関数の余剰次元部分は数学的性質がよく知られた関数で書き表されるため、余剰次元について作用積分を実行し4次元有効理論を導くことが出来る。更にその超対称性を局所化することで、余剰次元空間の幾何学的構造や超対称性の破れのダイナミクスを検証可能にする現象論モデルを構築する。
09:27

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09:40
Simulations with minimal doubled fermions
氏名Johannes Weber 学年D1
所属筑波大学数理物質科学研究科
概要
Minimally doubled fermions are fermion discretisation, which maintains standard chiral symmetry for two quark modes. After studying them in one-loop lattice calculation, simulations in the quenched approximation are possible now. Aspects of non-perturbative renormalisation are discussed.
09:41

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09:54
The Higgs Sector of the Next-to-MSSM(レビュー)
氏名北原 鉄平 学年M2
所属東京大学理学系研究科素粒子論研究室
概要
標準模型に存在する深刻な階層性問題を解決するためのひとつの答えになるように、自然に拡張されたものが超対称標準模型である。 しかし超対称模型の最小模型(MSSM)にも依然として階層性問題は存在している(μ問題)。 このμ 問題を解決できる模型の候補として、新しくゲージ1重項超場を加えたNext-to-MSSMがある。 NMSSMではMSSMとはHiggs sectorが大きく異なる。 本発表ではNMSSMのHiggs sectorについてMSSMとの相違点を踏まえながら発表する。
09:55

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10:08
ゲージ媒介模型(レビュー)
氏名濱田 雄太(はまだ ゆうた) 学年M1
所属 京都大学 ç理学研究科
概要
超対称性を仮定すると、我々の実験スケールでは破れていなければならない。 しかし、MSSMから超対称性を破るとき、MSSMセクターの中だけで破ることは困難であることが知られている。 そのため、隠れたセクターでの破れがゲージ相互作用で伝わるゲージ媒介模型が考えられた。 本講演では、ゲージ媒介模型の隠れたセクターの詳細によらない一般的性質について紹介する。
10:09

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10:22
Classical solutions in open string field theory and boundary deformations
氏名野海 俊文(のうみとしふみ) 学年D2
所属東京大学総合文化研究科
概要
弦の場の理論(string field theory;SFT)は弦理論の非摂動論的な定式化であると期待されており、その古典解は弦の無矛盾な背景時空を表すと考えられています。 一方、世界面 の視点では、無矛盾な背景時空中の弦の運動は世界面上の共形場理論(CFT)で記述されます。 そのため、SFTの古典解と世界面上のCFTの間に対応関係があることが期待されます。 本講演では我々の研究も少し交え、近年その解析的な取り扱いが進展している開弦の場の理論の古典解について、対応する世界上の境界付き共形場理論(BCFT)の deformation という視点から話そうと思います。